どれだけ気分が悪くても。

歳を重ねるごとに
母を尊敬するようになりました。

私の子ども時代

決して裕福な家庭ではなく
両親の夫婦仲も
決して良いものではなかったです。

父は、とんでもない短気で

私から見たら
母が、かわいそうで
よくそんな理不尽な夫婦喧嘩できるもんだ、と
子どもながらに
なんとも言えない感覚で

両親を見ていました。

ある日
朝っぱらから
派手な夫婦喧嘩が始まり

私は
巻き込まれたくない一心で
傍観者を気取っていました。

無言で怒りまくりながら
家を出て
車に乗り込む父

すると

もう二度と顔も見たくない、と
般若の形相で怒っていた母が

これまた無言で玄関に立ち

車の中にいる父に
聞こえないように
どっか行け!
ばーか!
と言いながら

母は笑顔で
父に手をふり

お見送りをしていました。

わけがわからない母の行動に

怒りと疑問を
矢継ぎ早に、ぶつけると

お父さんは車通勤だから
あの角を曲がったら
交通事故で死ぬかもしれない

最後にみた顔が
怒りの表情だったり

最後に見た景色が

誰もいない玄関だったら

かわいそうだ

ずっと理解出来ませんでした。

母を、憐れな女だと
バカにしていました。

そして今
自分が歳を取り

玄関で、お見送りではないけれど

もう、いやだ
もういいや、
そう思ったあとで

だいすきだよ


言えたとき

母が

どれだけ深く父を愛していたのか

初めて
理解できたような気がしました。

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keiko